2012年06月25日

ラ トゥーレットの修道院 #03 南側の外観            リヨン郊外/フランス


南側の外観を見る  地形は左(西)方向に下り、その先に美しい眺望が広がる。建物は傾斜の
ある大地からピロティーで持ち上げられ、最上部2層 (水平に個々のバルコニーが連続してい
る部分) が個室(僧房)となり、その下の階、眺望の良い位置には食堂等の諸室が配置されて
いる。


傾斜のある敷地というのは、建物を建てる上では、一般的にはあまり好まれないものである。
(総じて、土地の価格も平地よりは安価である。) 中庭として使う場合も、又、しかりであろう。
しかし、傾斜地には平坦地には無い (先の#02ような) 魅力もある。その事を上手く生かして
の、この中庭や、建物全体の計画なのであろう。

更に今ひとつ感じることは、傾斜地は平坦地に比べ、謙虚な印象を与えるように思われる。
与えられた自然の形状に人間が手を加えるのではなく、知恵と工夫によって、その自然を生
かしつつ、人間の快適性も満たそうとする謙虚な姿勢である。

高台の平地に周囲を見降ろすかのように堂々と建っているのは、概ね権力や財力のある、宮
殿や城塞等が多い。それに比べて、この傾斜地に建つラ トゥーレットの修道院はとても謙虚な
印象を与えている。

万物に対しての、「愛」とか「慈しみ」というようなフレーズが、見た後になってから、静かにじわ
じわと頭に浮かんでくる。こういった、周囲の環境を読み、建築を組み立てる技こそ建築家とし
て最も大切にすべき職能のひとつであろうと、帰りの道すがら、改めて思い返した。


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2012年06月21日

ラ トゥーレットの修道院 #02 中庭と渡り廊下          リヨン郊外/フランス


渡り廊下は、中庭をほぼ十字に横切っている  渡り廊下左手奥、視線の先が礼拝堂である。


傾斜のある場所というのは、水平な所とは、また少し趣が異なる。小中学生の頃だったろうか、
気候の良い日には、わざと屋根に出て、日向ぼっこをした事を思い出す。また、土手の斜面に
寝ころび対岸に広がる、河原の開放的な風景をボッと眺める時なども、妙に癒される一時であ
る。

斜面を背にしていると、斜面側からは守られているような安心感があり、そして、前方に広がる
広大な風景を独り占めしているかのような、日常では味わえない爽快に気分になれる。

どうも傾斜(傾き)のある所というのは、平坦な所と違い、日常とは少し異なる心理的な効用があ
るのではないだろうか。

建築的に壁などで囲われて、周囲と閉ざされた、いわゆる室内は、そこでなされる行為・作業なり
に最適なようにその内部空間は設計される。例えば、礼拝堂のような祈りの空間であるとか、就
寝・休息等のプライベイト性を重視する個室空間などである。

それでは、それら異なる性格を持つ部屋どうしを結び付ける空間は、いったい、どうあるべきもの
なのだろうか。礼拝の為に個室を出た人にとって、祈りの場へ向かう経路上はどの様な空間が
ふさわしいのであろうか。

そのひとつの解答が、この傾斜のある中庭と、そこを通り十字に交差する、この渡り廊下であった
のではないだろうか、そんな思いがしてきました。


posted by pao at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 建築旅日記_フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月15日

ラ トゥーレットの修道院 #01 中庭                リヨン郊外/フランス


渡り廊下より中庭を見る  ピロティー越しに傾斜している地形が見える。


自然と共にあろうとする考えが伝わってくる建築デザインであった。

このラ トゥーレットの修道院(1957~60)は、中庭を取り囲むようにロの字形の平面を
していて、自然の美しい、遠景の眺望が望める少し小高い傾斜地に建っている。地形は
ほぼ西方向に緩やかに下る草原であり、その視線の先には美しい眺望が広がっている。

中庭にもその大地の傾斜が現れ、そしてピロティーの視線の先へと続いている。
あたかも、この自然の中に居るかのような清々しい気持ちにさせる。
まさに建築全体がそんな構成のデザインであった。

これは、ル コルビュジエ(1887~1965)の最晩年とも言える時期の作品となる。


posted by pao at 18:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 建築旅日記_フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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