2010年08月26日

日本の古典建築探訪_時雨亭#03_外観  高台寺/京都


時雨亭北面の様子  右端に見えているのが傘亭につながる
土間廊下であり、床の飛び石は小堀遠州好みと伝えられ、
意表をつくデザインである。土間廊下の突き当たりに見えて
いる階段を上ると主要な部屋がある2階である。


農家などの民家そのものと、その風情を取り入れた草庵風な茶屋とは、見た目にはあま
り目立たないかもしれないが、中身は多くの点で異なる。民家の場合、地元で伐採した
木材を必要最低限の加工で使用する。一般的には柱や梁は、太くて強度、耐久性の高い
木材が選ばれる。屋根などを形作る骨組の組み立て方は、建物の安全性・耐久性・作業
性=経済性等が最も最優先に考えられている。つまり、それらには理由があり、理屈、道
理に全て適っていると言っても言い過ぎではないだろう。それ故に長く日本の山里の風景
となるまで に普及したのであろう。

傘亭・時雨亭は自然と調和する草庵風な趣ではあるが、山里に見られる民家などと最も大
きく異なる点は、木材の太さと骨組の組み立て方であろう。 傘亭・時雨亭に使用されている
木材は、径が細く、民家の方は太い。その結果、民家などは柱、梁が太く、がっしりと堂々と
している。それに対し草庵風は、柱、梁の木材は最小限に細く、屋根などを形作る骨組の組
み立て方は、出来るだけ簡素で開放的な空間としたいが為に、使用している木材などは最小
限に少なくなっている。

傘亭の屋根は、部屋中央上部に、けして十分な太さとは呼べない1本の丸太の梁が掛かり、
その中央に、宝形造りの屋根の一番高い中央の一点を支える、これも十分な太さとは呼べ
ない1本の丸太の束が立っている。この束は枝がそのまま付いていて、野山に落ちていた
枯れ枝を、そのままチョコンと取り付けたかのようであり、いかにも頼りなさそうに見える。屋
根を形作る骨組は見える限りではこれだけである。
パッと見て、「これで持つのか?」、「屋根の持たせ方はこれで良いのか?」と疑問しきりで
あり、不思議な光景ですらある。以前にも書いたが、このインパクトこそが、秀吉の狙いの
ひとつでもあろう。一般的な理屈や道理には合わないように思われる。よほど熟練した高い
技術が込められているのであろう。

草庵風な作り方の方が、簡素で慎ましやかに見えるが、高い技術や良質な木材などを必要
とし、一般的には高価である。

2010年08月20日

日本の古典建築探訪_時雨亭#02_天井  高台寺/京都


時雨亭2階天井  傘亭と同じく屋根の形状をそのまま表した化粧屋根裏天井である


時雨亭(しぐれてい)の屋根は入母屋造りで茅葺きである。天井は先の絵の通りであり、
形こそ違え、天井の表現の仕方は傘亭と同じである。つまり、屋根の形をそのまま天井の
デザインのモチーフにしている。

これは 一番素朴・素直な表現で、作り方においても無理がなく、従って一般的には経済的
である場合の方が多いであろう。よって多くの農家などの民家に見られる。
その姿はまさに自然と調和して、美しい山里の風景となっている。

真、行、草という格式等を表す言葉があるが、先の農家の民家風な表現のことを、草庵風と
呼んだりする。傘亭・時雨亭は共に草庵風ではあるが、お互いに趣や使い勝手が多少異なる。
この2亭を屋根付きの土間廊下でつなぎ、茶事等のプライベートな多用途に使用したのであろう。

2010年08月19日

日本の古典建築探訪_時雨亭#01_内部(2階)              高台寺/京都


時雨亭2階内部  床の間(右)と床脇中柱奥に竃土(くど/かまど)が見える


時雨亭(しぐれてい)は2階建てで、2階が主要な部分である。木製の急な階段を上り、
2階に入る。東西に長い長方形な平面で、部屋全体が床の間も含め、板の間である。

東側の南東隅に床の間、その床左脇に竹の中柱を立て、奥に隠れるようにかまどと吊り
棚が作られ、反対の西側には上段が設けられている。主な主要な窓は、障子戸等はなく、
板戸の突上戸である。

戸を開け放てば、風が良くぬけてゆく。先の絵は、上段より床の間方向を見たものである。
左下に見えているのが、上段の手摺である。

床の間正面の壁には、円い下地窓が開けられ、そこから見える外の景色を床の間の風情
(要素・ 素材)としている。

これは想像であるが、伏見城から移築 したとあるので、元々はこの円窓からとっておきの
風景が見えていたのかもしれない。

この床の間には、当初から風で舞う可能性のある軸もの等は掛けられないと判断して、そ
れに代わるものとして円窓を開け、外の景色を楽しんだのではないかとする説があるが、
私もそうだろうと納得した。
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